国立学園小学校 概要 2020


かつては5倍近くの倍率を保っていた国立学園。現在は定員割れの衰退ぶり。以前同様、教育水準は非常に高く、検定教科書を執筆なさっている先生方も複数いらっしゃる学校。なぜ、このような状況に?これではせっかくの高度な授業に見合う生徒が集められない。

♪以前の国立学園
前々校長の守屋先生は大変に人望が厚くいらっしゃったが、それ以上に、「うちはみんなが中学受験をする学校です」と明確に学校の方針を示していらした。それに賛同する家庭だけが集まり、皆同じ方向を向いていた。だからといって母親に専業主婦を強いてお弁当を作らせているのではない。むしろ、「子どもにしか関心のない母親はろくなことがない」と、母親が仕事を持つことを強く勧めていた。仕事を持つ忙しい母親、中学受験、その中でも子どもが母親の愛情をしっかりと受け止める一つの手段として、お弁当を捉えていらしたのかもしれない。

♪現状
平成27年4月に、それまで教頭先生でいらした児玉先生が校長になられた。なにしろお優しいお人柄ゆえ、「保護者のご要望」を優先するようになった。「受験をする、しない、の判断はご家庭にお任せします」、「お弁当を作れないこともあるようなので、お弁当を注文できるようにします」となってしまった。守屋先生時代に必ず面接でされた、それも面接で最も重要、とさえ言われた、「中学受験をさせる学校ですが、宜しいですね」、「毎日お弁当ですが、大丈夫ですね」の2つの質問をする必要がなくなっているのだ。国立学園を受験させる以上は全ての家庭が当然賛同しているはず、という点から言えば、「質問」ではなく「確認」と言えるかもしれないものであった。それだけ、「中学受験」と「お弁当」は国立学園の本質であったはずだ。それだけに、ここ数年の国立学園は、「時代が変わった」「家庭からの要望が多い」と振り回され、本質を見誤ってしまっている気がしてならない。

そのため、中学受験をしない家庭や、中学受験をさせはするが、私立(国立・公立中高一貫)に合格するための積極的な行動を起こさない家庭も出てきている。勉強もお弁当も放課後の時間も英語の教育も、「なにもかにも学校にお任せできていい」という家庭の入学が増えた。言い換えれば、子どものことを全てやってくれて親が楽できる、という理由で国立学園を選ぶ家庭が増えている、と言うことだ。守屋先生なら「うちはそういう学校ではない」ときっぱりとお断りになったはずの家庭。中学受験を真剣に目指す家庭とは、明らかに質の違うものが混ざってしまった。きょうだいで国立学園に通わせていても、下の子どもは敢えて別の学校に通わせる、途中で退学する、という事例が少なからずあると、内部の保護者から直接伺った。つまり、中学受験を目指して国立学園に入学させた、守屋先生が校長をなさっていた時期に入学した高学年の保護者とは異質なものが低学年には増えている。そういった学校の方針変更、考え方のブレのためか、教職員の離職率も高くなっているそうだ。

♪学校による定員割れ分析
学校説明会時に「かなり大幅な定員割れの原因をどう分析しているか」と質問をした(失礼な話で大変に申し訳ない)」。そのお答えが以下。
1)共働き家庭への支援不足
その対策として、お弁当給食、アフタースクールといった取り組みを始めている。
2)SNSの普及
いじめ問題などについて、かなり書き込まれている。
3)少子化
子どもの数自体の減少している。

受け止め、分析共に甘く、事態の本質を捉えていないと感じた。私学として絶対に譲れない部分、「うちはこういう学校です」と貫き通す姿勢を取り戻すべきではないか。そういったやり方で、これまで進学実績を守ってきたが学校なはずだ。そして、中学受験を見据えながらもいわゆる「がり勉」ではなく、のびのびとした子供らしさを大切にする「国立学園の良さ」が、その進学実績を支えてきたのだ。これからの進学実績はどうなるのか。下降線をたどるようになれば、さらなる定員割れを増幅させることは明白だ。今年、新しく校長に就任された佐藤先生(前教頭)はどのようにお考えなのか。どう舵取りをしていらっしゃるのか、注目したい。

♪洗足学園との比較
同様に中学受験を目指している洗足学園小学校。こちらは近年増々倍率を上げている。洗足の吉田校長先生に、定員割れの国立学園との違いはどのようなこととお考えかと直接質問した。そのお答えが以下。

「私どもは『中学受験のための小学校です』と言っているが、国立学園小学校は『中学受験のための小学校ではない』とおっしゃっている。国立学園小学校には素晴らしい先生がたくさんいらっしゃる。教師の教える力、授業については、国立さんの方が上かもしれない。しかし、洗足は『中学受験のための学校』として、学校と親が同じ方向を向いているということだろう。」

♪国立学園らしさを大切に
国立学園はもっと堂々と「中学受験の学校」、「勉強をさせる学校」、「家庭と学校が協力して子どもを育てる学校」と宣言し、本来の国立学園の良さを取り戻すべきだ。もちろん、その教育に対する異論はあるだろう。望む人もいれば望まない人もいるという宇宙普遍の原則。「うちはこういう学校」と一貫して目指すものを貫く凛とした姿勢、それこそが私学学校の存在意義ではないのか。国立学園はそういった本質が見失われ、方向違いに迷走しているように見えて仕方がない。

 

2020年5月22日 GLE幼・小受験チーム

国立学園小学校の詳細は「国立学園小学校資料請求」から別途お求めください。
国立学園小学校の過去問研究は「共学校過去問研究資料」から別途お求めください。
個別対応ご希望の場合は「プレミアム会員」からお申込みください。