慶應義塾横浜初等部 概要 2020


♪ 小泉信三ショック

2019年9月、慶應義塾横浜初等部の願書を購入した全員が、猛然とした驚きを感じた。いわゆる「小泉信三ショック」だ。慶應は幼稚舎も横浜初等部も「福翁自伝を読んで感じるところを書いてください」という願書の課題があった。時は9月。願書購入者の全員が、すでに福澤について書き終わっていたはずだ。ところが、2020年度入試用慶應義塾横浜初等部には、福澤諭吉ではなく「小泉信三」の文字があった。

♪ 幼稚舎と初等部

幼稚舎の二番煎じ的にスタートした横浜初等部であるが、幼稚舎を上回る倍率を誇る。開校当初こそ「幼稚舎への卑屈なライバル心」を感じたが、今や押しも押されぬ日本一の人気校だ。幼稚舎と横浜初等部の併願は可能で、この結果は誰も予想し得ないことであったが、幼稚舎を蹴り横浜初等部を選ぶ家庭がある。横浜初等部は「慶應」という巨大ブランドを持ちながら、ちゃんと勉強もさせてくれる。ただひたすらに獣心を育て、「選ばれし者」としての特別感を育てるだけではない。幼稚舎が「昔の福澤」をいつまでも見ているのだとしたら、初等部は「福澤の指さす方向」を見ている。ただ福澤をなぞらえるのでなく、福澤の改革、改革精神そのものを体現し、時代とともに常に変容する「指さすその先」に目を向けている。

世の中はもう甘くない。「慶應卒」の肩書だけで一生安泰などあり得ない。慶應ブランドでありながら、きちんと社会で自立し、世界で肩を並べて戦える実力をもつけてくれるのが、この横浜初等部なのだ。2019年度は開校6年目を迎え、幼稚舎に頼らずとも、否、幼稚舎以上の価値を見い出し、慶應義塾横浜初等部としての本当のスタートを切った。「小泉信三」にはそんな思いが込められているのかもしれない。

♪ 入試で見ているもの

部長先生が2年ごとに替わっている。大学教授、医学部や国際法のご専門など、お偉い方が歴々務められた。なかなか敷居が高かったが、2019年4月からは、幼稚舎の先生でいらした近藤先生が部長先生になられ、子ども目線に立ち急に学校が身近で親しみやすくなった(2020年度4月に尾上義和部長が戻られている)。その近藤先生の、2020年度入学生に向けた説明会での言葉を引用してお伝えする。

「その子の何気ない動作や佇まいを見ている。何かをしているとき、今のみなさんのように座っているときはわからないが、何かをしているときにその子の頭の良さやその子らしさが出る。それをじっくり丁寧に見ていれば、私たちが間違えることはない。こう言うと今日からやってくださるのではないかと思ってわざと言うが、後片付けができるような子は、私たちが一緒に勉強をしたくなる。今日帰ったらすぐになさるといいと思う。

型にはめられ、大人の言う通りのことしかできないような子どもは、新しい道を切り拓いていけるのかどうか、私どもも不安になる。その子らしさを堂々と表出してくれるような、そういう子どもを入学試験で選考したいと思っている」。

尚、尾上部長は2019年度入学生に向けた説明会で、『一家は習慣の学校なり、父母は習慣の教師なり』との福澤諭吉の言葉を引用し、家庭教育の大切さを強調された上で、家庭教育において重要な点にについて言及されている。
※ どの年度についても、説明会詳細は「資料請求(会員メニュー)」から入手可能です

 

♪ 「博士」が受かる

幼稚舎にも言えることだが、博士が受かるとよく言われる。「雪ヒョウが好き」、「フクロウのことなら何でも知っている」、「頭の中が昆虫だらけ」、「鉄道バカ」など、主に男子に見られる傾向だ。この、「何かに夢中」というのは慶應受験にとって大きな強みだ。バランス感など一切関係ない。ただ好き、ただそれだけに一心不乱に突き進む。とことんはまって熱中する。大きくなったらなりたいものを描かせても雪ヒョウ、魔法が使えたらどうするか考えさても雪ヒョウ、ワクワクすることって何か聞いても雪ヒョウ。博士だから、何を聞かれても猛然と熱く語り、豊富でマニアックすぎる知識をこれでもかと披露する。こういう高い熱量を持っていることは、人を魅力的にする。「この子、おもしろいな」。慶應はそういった部分をとても重要視している。

彼らには、先に待つ受験がない。受験は何科目も勉強しなくてはならず、苦手があると見事に足を引っ張る。バランスがよいことが絶対的に求められる。ところが、慶應の子どもたちにとって、バランスなど不要不急の最たるものだ。何か一つに圧倒的に秀でている、そういった人としての魅力、つまり、「キラリと光るもの」を持つ子ども、それを学校は探している。

♪ 夢中を持っているか

あなたのお子さんは、誰にも負けない「夢中」を持っているだろうか。子育てで一番むずかしいことは何か。間違いなく待つことだろう。「こうしなさい」、「あれもやりなさい」、「早くしなさい」。常に急き立てられ、常に大人の指示をやっつけるだけの時間の繰り返す子どもたち。その方が結果がすぐに目に見え、親は満足してしまいがちだ。でも、そこには子どもの「夢中」はない。自由で開放された時間を、思い切って子どもに与えてみよう。じっと我慢して待ってみよう。目を輝かせて時間を忘れ、夢中になれるものを子ども自身がみつけるのを、黙って笑って見守ろう。慶應が探しているのは、子ども自身が自分で見つけた「夢中」なのだ。

♪ 小泉信三

願書の一助として、「小泉信三研究」をお渡ししています。会員サイト、資料請求からお申し込みください。「福沢諭吉研究」も用意しておりますので、あわせてご利用ください。6月中旬以降に最新版公開予定です。

2020年5月21日 GLE幼・小受験チーム

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