早稲田実業学校初等部 概要 2020


職業柄、小学校説明会に足を運ぶ機会が多いが、早実の説明会の雰囲気は際立っている。「世の中を先導し」、「時代を担い」、「早稲田の歴史を一緒に創ろうではありませんか」。そんな言葉を我が子に重ね、この子もきっと時代を動かし、歴史に名を刻む大人物になるのだわと壮大な期待感に包まれる。目の前にある早稲田大学へのドリームチケット、学部の豊富さと質の高さ、スケール感、ブランド感。会場は親達の熱気で弾けそうに膨張する。皆さん、我が子の将来に胸を膨らませ、頭の中で校歌が駆け巡る「♪早稲田、早稲田、早稲田、早稲田~」。

開校から18年、2020年度入試は応募倍率8.6倍、実質倍率7.1倍。日本で5本の指に入る人気校。スポーツ選手、芸能人御用達ではあるけれど、天下の「早稲田ブランド」としては若干物足りない倍率だ。実業学校、校章は稲穂のマーク、校是は「去華就実」、所在地は都心から小一時間の国分寺、更に駅から歩きます。こういった地味さ、野暮ったさが、セレブママたちご満足いただけないのかもしれない。更には医学部がない。初等部に入学したからには早稲田大学へ行くのがお約束、外部受験は言い出し辛過ぎほぼ不可能。開校当初は「全員早稲田大学へ進学できる」との触れ込みだったが、中学へ上がれない子もちらほらいる。それらを理解して受験したい。

♪ グローバリゼーション

言うまでもなく、早実の先には早稲田大学がある。大学教授、中高の先生方が、初等部で教える機会ももちろんある。ただ、中高以降は「グローバル教育」に重点を置く早稲田であるが、小学校は遅れている感が否めない。現在も英語は週1時間、5、6年生のみ2時間だ。私立小学校としては少ないだけでなく、導入時期もかなりも遅れた。せっかく上に中高、大学を擁し、教員連携などもできるはずなのに、一体なぜなのだろう。一個人の憶測でしかないが、歴史、伝統、ネームバリューに甘んじ、先進的に時代の要請を取り入れる姿勢が後回しになっているのではないか。王者の椅子に胡坐をかき、驕り、傲慢であれば、激しい時代の流れに取り残されてしまう。早稲田大学は危機意識を持っている。その意識が小学校に下りて来ていないように感じるのは私だけなのだろうか。

♪ 入試課題から求める子ども像を考える

早実の入試には特徴が多い。工夫され難化傾向のペーパー、生活巧緻性に象徴される制作・巧緻性、生活場面の切り取りではない、想像力、感性が求められる絵画、運動というほどではない運動、「やり直しと相談」を含む行動観察、そして最後の砦、威嚇かと思うような親子面接。中でも特徴的な観点から、早実が求める資質をお伝えする。

1)しつけ
早稲田と言えば生活巧緻性。衣服の着脱、片づけ、雑巾絞り、ちりとりとほうき、傘、配膳などのほか、顔を洗う、布団を敷くといった出題まである。開校当初、学校側は「小学校1年生ってどんなもの?」というのが把握できていなかった。着替えはできるのか、ランドセルに荷物をしまえるのか、雨が降ったら傘はどうするのか。そういった心配が試験課題となった。校長先生が「入学までにしておいてほしいこと」についてお話になったときも、真っ先に「しつけ」とおっしゃっている。自分のことは自分でする意識を持ち、年相応の身辺自立ができていること。そのために親がすべきこともお話になり、「手を出さない」、「ほめる」の2点を挙げられている。

2)協調性
「自分が自分が」タイプより、協力的態度や協調性、共感力、他者との友好的かかわり、違いを認めて受容する力といった社会性を非常に重視する学校。地味に見えても、周りが見えていること、友達へ配慮できる姿勢が大切。行動観察では、課題をまずは1回やった後に「より上手くやるにはどうすればよいか」グループで相談、問題解決をさせる。目の前の問題を自分のこととして向き合う姿勢、問題解決力、工夫力、提案力、コミュニケーション力、そして何より人の意見を受け止め耳を傾ける力、違いを認める受容力、人と共感する力がしっかりと観察される。お教室では目立たなかった子が合格してくる。短い行動観察の時間の中で、確固とした価値観を持って子どもを評価している表れだ。

3)会話力
5倍近い一次試験を突破すれば、早稲田大学はもうすぐそこだ。しかし、最終難関の親子面接が待ちかまえる。子どもは親より前に座る。質問もほとんど子ども。校長、中高校長、あるいは大学の偉い人など錚々たる面々4名が面接官。大人の男性、失礼ながらご高齢、しかもあからさまにお偉そう、頭固そう、ママパパ怖いよ~。ここでひるまぬ経験値だけは絶対的に必要不可欠。お年寄りたちは子どもを威嚇しないようタメ口で話してくれたりするが、これに引っ掛かってはいけない。会話力とともに、礼儀、目上の人を敬う姿勢も必要だ。あまりの緊迫状態でパニックになったり、答えられなくてお母さんの顔色を伺って振り返ったりはNG。親子関係が露見し一発アウト。せっかく一次を突破したのに「残念でした」のお手紙を受け取ることになる。

ただ、おどろおどろしい場の雰囲気に反し、質問自体は子どもに十分こたえられる身近な話題だ。一問一答ではなく発展していくので、模範解答を躍起になって覚え込ませるより、自分の言葉で自分の思いを伝えられるよう、話すことに自信が持てるような声かけを積み重ねるしかない。早実では発表する機会が多い。入学後にも求められる資質となる。

♪ 関係者

もちろん実力で合格する子どももたくさんいる。それは絶対的事実。でも、使えるものがあるなら使う方が圧倒的有利であることは否めない。直接的コネ・縁故でなくても、「祖父が元総理大臣」といった権威的なことは、是が非でも願書でしっかり匂わせたい。親より一世代上の経済力に期待を持っている学校。おじい様の出番でもある。早稲田大学の卒業生の方も多いことだろう。ゼミの先生がお偉くなっているかもしれない。なりふり構わずアプローチしておきたい。

♪ 願書・面接

願書面接が非常に重要視される学校の一つである。鋭意お手伝いさせていただく所存なので、是非ともお問い合わせいただきたい。だたし、同一年度中には同一学校受験者1名ずつのお預かりとさせていただいているので、何卒ご容赦いただきたい。こちらとしてもお一人おひとりに対し全身全霊でお手伝いする覚悟であり、一校一名のみのルールとさせていただいている。ご理解のほど、よろしくお願いしたい。ご希望の場合は、プレミアム会員サイトからお申し込みください。

2020年5月21日 GLE幼・小受験チーム

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