洗足学園小学校 概要 2020


何のために小学校受験をするのか?最も多い答えは、「先に待つ受験地獄からの解放」、「のびのびとした自由な時間を過ごさせたい」などではないか。しかし、洗足は「全員が中学受験をする学校」を最前面に謳い、猛然と勉強させる。にもかかわらず、12倍という高倍率で、慶應義塾横浜初等部、稲花小学校に次ぐ全国第3位。ブランド校の慶應義塾幼稚舎、早稲田実業学校初等部を上回る。同様に中学受験を標榜する小学校が軒並み定員割れする中、この1人勝ちっぷりはなぜなのだろうか?

♪コロナ下でのオンライン授業、その充実ぶり

大学の全面協力を得られる附属校と比し、ICTに関して遅れている印象だった洗足。それより何より、中学受験対策最優先の学校であった。積極的な学校ではかなり早期にICT体制が整っていたが、洗足は「ようやく」3年前に重い腰を上げた。ところが、今回の休校中、最もオンラインを活用し、平時と遜色ない授業を展開しているのは、まさに洗足と言い切れる。全国的にオンラインでの授業ができる学校は全体の5%程度という状況の中、洗足の子どもたちは毎朝8時半、制服を着て(その賛否は別として)画面の前に揃い、先生方が自宅から(先生方も8割以上が在宅勤務)次々と授業を行う。先生と生徒、生徒同士も双方向的やり取りをする。今までと同じに宿題、課題が出て、日記漢字をこなす。世間では学習の遅れから9月入学議論が盛んだが、洗足にあってはその必要がない。なぜなら学習が遅れていないのだから。保護者満足度は96%という。

ICTに遅れを取っていた洗足が、なぜここまで先進的にオンライン授業をけん引しているのか。答えは単純明快。中学受験に向け「勉強する必要がある」からだ。原因と結果の法則を明確に示している。「やる必要がある」、だからやる。できない理由など考える余地はない。「どうやってやるか」、ただそれだけ。今回明白になったこの事実こそ、洗足学園小学校を見事に表している。

♪中学受験のメリット

え?中学受験?小学生のうちから塾通いをして、詰込み教育ではないか、知育偏重ではないか、塾通いで時間が自由に取れないのではないか、小学生はもっとのびのびと遊ぶことが大事なのではないか。その面は否定できない。しかし、中学受験をすることによって得られる部分、プラスの面もあると洗足では考えている。高い学力、豊富な知識、読解力、論理的思考力、課題発見・問題解決能力、発想力など。今の中学入試は、ただ単に覚えていれば答えられるという問題ではない。全く見たことも聞いたこともないような文章が出て来て、そこから意味を読み取って答えなくてはいけない。深く考える力、読み込む力、そういったものが必要になって来る。こういった点で子どもの能力を本当に伸ばす一助になっている。

また、非常に大変な中学受験、その困難に挑戦する強い意志、そして、それをやり遂げた後の達成感や自己肯定感、こういったものが身につくという面もある。さらに、洗足の児童が目指す中高一貫校は大変に優秀な学校が多い。その中での生涯を通じての友人を得ることは人的財産だ。そういった環境を手に入れられるということも中学受験をする大きなメリットだと洗足は考える。

♪洗足のイメージ

ガリガリガリガリ勉強ばっかりやっている、人間関係、友達関係が悪そう、周りの子どもたちは皆ライバル、ライバルを蹴落として自分がのし上がっていこうという子が多い、そんなイメージが定着している。それは学校も百も承知、その上で、心の教育に非常に力を入れている。洗足の子どもはどうしても塾にも通うし、偏差値、点数というものが大きな影響を与える。そういった危険性について十分に注意をして教育に当たる。合否、結果がつきものの中学受験、学校はその心のケアには万全を尽くそうと最大限努力している。

♪英語と受験4教科の兼ね合いについて

もちろん、洗足がすべてよいわけではない。中学受験の主要4教科が中心となり、英語が後回しになる。昨今は、ただ御三家に入り、いい大学にさえ入れば安泰という環境ではない。中学受験というハードルを敢えて子どもに課そうと思うような家庭こそ、海外でグローバルに活躍してほしいという願い、選択肢が増えているのではないか。その中で、洗足は英語教育についてはどう考えているのか。吉田校長先生に直接お話を伺った。以下がその回答である。

「どうしても中受4教科のやることが多い。英語については、日本語をしっかり学んだ後で、中学で勉強すればよいのではないか、それでも遅くはないと考える。耳という問題もあるが、それはそういう教室に通ってもらうしかない。洗足の子どもたちはやることが非常に多い。ご家庭で取捨選択をしてもらうということだ」。

♪ほかの中学受験校との違い

同じに中学受験を掲げる小学校のほとんどが定員割れの中、洗足学園の人気ぶりはなぜなのだろうか。これも、吉田先生のお話だ。

「私どもは『中学受験のための小学校です』とはっきり言っている。中学受験をしてもしなくてもいいですよ、ではない。素晴らしい先生がたくさんいらっしゃって、教師の教える力、授業については上の学校もあるだろう。しかし、洗足は『中学受験のための学校』として、学校と親が同じ方向を向いている。そういうことではないか」。

*入学試験

例年は、親子面接、学力考査、行動観察、運動機能検査が行われる。今年は、親子面接と学力考査の実施は例年通り実施の予定だが、密になってはいけないということがあるので、1クラスに入る人数を減らして実施しようということで計画をしているとのこと。行動観察、運動機能検査についてはコロナの影響で、どういった形になるかは現在検討中。非常にオープンな学校であるので、決まれば公表されることだろう。

尚、面接の際、「今まで何回、この洗足学園小学校にいらっしゃいましたか?」と必ず確認される。ほかの私立小学校とはかなり異なる特徴があるため、学校を良く理解していただいた上で入学していただきたいとの学校側の思いがある。説明会も来たことがない、授業も見たことがないでは、入ってからのミスマッチにつながり、被害を受けるのは子ども自身だ。回数を聞くことは入試のポイントになると吉田校長先生がはっきりとおっしゃっている。ただ、今年度に関して言うと、コロナの状況で来校回数を聞くことはちょっとむずかしいのかなともおっしゃる。オンラインでやった説明会については見ていただいたか、それは質問させていただこうかなとのお話であった。

♪洗足の求める児童、家庭

吉田校長先生の言葉そのままにお伝えする。

  1. 本校は、全員が中学受験に挑戦する学校だ。中学受験を視野に入れる家庭に選んでいただきたい。
  2. 様々な体験をしていて、そのなかで考える習慣、どうしてなんだろう、なぜなんだろうということが身についている子ども。
  3. 子どもの学習に責任を持っていただける家庭。
    勉強は学校でやるもの、塾でやるものというふうにされてしまうと、中学受験は乗り越えられない。家庭学習がカギを握っている。本校は宿題を毎日のように出すが、この宿題の丸つけ、テスト後のテスト直しのチェック、これらは全部家庭にお願いしている。その理由は以下。
    ・今学校でどんな内容を勉強しているかを見ていただきたい。
    ・子どもができていない部分は、家庭で責任を持って対応していただきたい。
    そうすることで、学校と家庭と両方で子どもの力を引き上げていこうと考えている。
    ・コミュニケーションを取っていただきたい。
    子どもの家庭学習を一緒に見ることによって、先生はこれをどうやって教えてくれたのかとか、学校ではどんなお友達がいるのかとか、要するに、子どもといろいろな会話をたくさんしてほしい。中学受験は親子一体型の受験だ。是非、一体になって取り組んでいただきたい。
  4. 子どもの心の発達を大事にする家庭。
    心の教育が大切だ。学校の取り組みを理解して協力していただける、自己肯定感を育むような声かけ、善悪、やっていいことと悪いことをきちんと伝えられるご家庭、ほかの子と比べない、こういったことを心掛けていただけるご家庭だと大変にありがたい。

2020年5月20日 GLE幼・小受験チーム

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