玉川学園小学部 対比 桐朋小学校


玉川学園で取り組んでいる国際バカロレア教育の進捗状況は気になるところである。
私の知人が3年前に玉川学園小学部に子どもを通わせるか、桐朋小学校に通わせるかの選択を迫られた。家庭ではグローバルリーダーに育てたいとの強い希望があった。検討した結果桐朋小学校に進学させた。グローバルリーダー教育の観点からは、全く対極の学校である。

玉川学園中高は2007年より国際バカロレア機構が提供する教育プログラムを採用し、着々と6年生から始まる国際バカロレアクラスにつながる教育システムの構築を行ってきた。本年度あたりから、漸く年少から始まり高三につながるシームレスな体制ができあがりつつある。一般クラスとバイリンガルクラス(BLES)に分かれているが、双方とも週5回ほど英語の授業があり、バイリンガルクラス(BLES)では、国語や社会以外の科目の多くが英語によってなされる。高2、高3でディプロマの資格が与えられると、世界トップクラスの大学の入学資格として認められる。

知人は玉川のシステムの未完のところ(生徒の理解にバラツキがある等)に目が行き、自分の望むレベルでないと判断した。また、桐朋小学校の良いとこに惹かれた。しかし、桐朋小学校では英語は小3から始める予定であり、グローバル教育への取り組みが全く乏しい。桐朋小学校では子どもの関心興味を育むこと、子どもの根っこの部分の育成に熱心であるが、一般の親の考えているような勉強らしいものはなかなか始まらないそうだ。急がば回れなのだろうか。しかし、子どもは興味のあることには驚くほど意欲的であるという。例えば昆虫のこととかである。知人は英語に関しては、英語塾に集中的に通わせている。将来はアイビーリーグの大学への留学を望んでいるのだ。教育の成果は、時間を経てからわかるもので、今の段階では選択の優劣を論評できない。

私の見る限り、玉川学園の一貫教育は年々良くなっている。募集状況も好転し始めたようだ。国際バカロレアが提供する教育は国際水準だ。これからの時代に必要な、論理的な思考力、批判的な思考力、創造的思考力を育み、生涯に渡って自ら学ぶ人材の育成を目指している。また、玉川の今まで行ってきた全人教育と融合している。延長教育プログラムも充実している。おそらく今の低学年が卒業するころには、ペンシルバニア大学やスタンフォード大学などに進学する生徒も出てくるであろう。

しかし、これだけのスタッフ、内容を揃えるに経費も掛かるであろう。月謝も高い。延長教育プログラムも有料だ。

また、バイリンガル教育はで成功するためには、高度な内容を理解、思考、表現できる真の語学力、国語力を養成するための、家庭の努力(幼児・低学年においては本の読み聞かせ等)が求められる。バイリンガル教育に成功している家庭は、学校任せでなく、家庭教育も確りしている。そのことを忘れてはならない。

教育は「子どもたちが社会にでる20年後、30年後に活躍できる能力を育む」ことであり、塾や受験勉強に多大の時間と資金をつぎ込むことではない。それが分かっていても、高額な月謝は一般家庭には負担感があると思う。グローバルリーダー教育に対して政府も予算を割くべきと思う。

2019年9月25日
安藤 徳彰