私立小学校 男子校対比(2019) 暁星小学校 対 立教小学校


暁星小学校 対 立教小学校

私立小学校において、女子校は多いが、男子校は全国で三校のみで、暁星小と立教小と精道三川台小である。ここでは東京の男子校、暁星と立教を対比させる。
女子校においては相互の類似性が高いが、暁星と立教は真逆である。この違いの源泉は、直系の大学を持つか、持たないかの違いである。

立教小の説明会では、先ず、共学と男子校との違いを語り、男女の発達差について述べ、男子校の優位を説く。次におそらく暁星のことを念頭に、立教はゆっくり時間を掛けて大樹を育む環境であると説明する。「競争より共奏」とも言う。競うより共に奏でる。あるとき教頭はこんな逸話を話した。「徳川家康は村正と正宗を比べた。上流から木の葉を流したら、村正はそれを真二つに切ったという。家康はこれを嫌い正宗を選んだ。いつも切れ切れでなくていいんです、気合いを入れたときに切れるのが大切なんです」。立教の教育は正宗型を目指しているとのことだろうか。確かに、立教の教育を見てみると、ゆったりしているところがある。それは一つの美質であるかもしれない。

暁星小学校正門に掲げられているプレートには『困苦や欠乏に耐え、進んで鍛錬の道をえらぶ気力のある少年以外は、この門をくぐってはならない』と書かれている。校庭にある校訓碑には『校訓 神を愛し、人を愛する』。端的に言うと、暁星の教育を全て顕している。
両校の対比として、英語教育に絞ってみよう。両校では英語へのアプローチが異なる。
立教のHPによると「英語の授業は1年生から始まり、歌やゲーム、カード教材などを積極的に取り入れ、楽しみながら、外国や異文化への理解、関心を育むことを目指しています」とある。代表的な英語への取り組み方の一つだ。しかし、筆者の英語教育への理解では、物足りない気がする。また、「国際理解」というキーワードで、曖昧なまま逃げている学校が多い。歌やゲームは幼児のときの手法であり、国際理解はこれからいくらでもチャンスがある。発達段階的に言うと、音声面のトレーニングは早いほどよく、小学校に入る頃は、「文法への敏感期」であり、文の規則に積極的に慣らさせることが必要である。また、立教英国学院留学(1年間)にしても、現地の授業は日本語だ。
先日の学校説明会(6月6日)のとき、6年生の英語の授業参観をした女性のメモである。「ネイティブと思われる教師一人と分割20名授業。なぜネイティブが日本語で授業をしているのか?子どもたちはなぜ、これほどの大人が参観しているにもかかわらず、全く授業を聞いていないのか?なぜこれほど無気力なのか?なぜ全く英語を話さないのか?(中略)あまりにもなぞの多い授業参観でした。」どのような英語教育を行っているのか掴みにくいのが現状だ。しかし、立教大学ではグローバル人材育成に熱心であり、Global Liberal Arts Program では、全てを英語で学ぶ→留学のプロセスを提供している。したがって、高い英語レベルの学生が望ましいはずだ。

一方、暁星の英語教育は可視化できる。「Smile」という教材を使っている。優れた教材と思われる。暁星のほか、晃華学園、雙葉などで使用。暁星と晃華学園とは、当初は進度が同じである。
暁星に関して昨年のレポートと取材内容はほぼ同じである。英語担当の岡澤先生の話では「ほぼ完成の域に達していて、大きな変更は無い」とのことだ。
小学校英語科に英語教授法TESOLの資格を持った教師がいる学校の指導はモデルケースとなるべき内容と言える。暁星小の岡澤先生はペンシルバニア大学大学院でTESOl 取得。(晃華学園の佐橋先生はロンドン大学大学院でTEFLを取得と聞いている。TESOL、TEFLは 英語教授法)

  • 1年~3年
    週2コマ ネイティブ+日本人のチィームティーチング(TT)
  • 3年間に見出し語900語を取得、単語としての返答でなく、文章として返って来るように1年生から指導。つまり、「What color do you like?」 と聞かれたら、「bule」 ではなく「I like bule.」と返答させ、音の塊で使えるようにしている。 2年生で文字指導を始める。フォニックスはこの段階では例外は教えず、ミニマムを教えて、混乱なく定着を図っている。
  • 1年生で夏休み前にどこまで進んでいるかというと、「How many legs do you have?」とか「Taku is drawing something.」とか「What is in the box?」とかの基本的な文型を習熟させる。夏休みが明けると、「I caught one cicada.」の様な過去形の導入となる。しかし主眼は数の意識を高めることにある(Smile1)。また、今の段階では細かい文法の説明はせず、絵や状況から英語の内容を推測する力を育てる。
  • 4年~6年
    週2コマ 日本人の教師で行う。かなり高度の内容まで指導している模様だ。
  • 習った内容を自宅でネイティブの音声で復習できるシステムも存在する。ワークブックとCDで、内容理解と語の表現の定着を目的としている。
  • 低学年では聞き分ける力を確立させながら、文章を塊として処理できる能力を育成して、大量の英語情報をスピード感を持ち全体把握できる能力を作りあげていく。この様な土台があれば、大学受験はもちろん、海外留学にも対応できるであろう。
  • 暁星の生徒は医学部に進学する人が多いが、研修病院を決めるマッチングテストでも英語を重視するところも多く、先進の医療を学ぶのにも英語力が必要なのであろう。

以上が、暁星小の英語教育の概要である。

さて語り始めると切りがないが、小・中・高の教育の成果としてまず目安となるのが大学進学実績である。立教の場合は、池袋は90%が立教大学に、新座は80%の卒業生が立教大学に進学する。
方や暁星の場合は昨年の実績では医学部に118名合格した。そのうち60名は現役であり、医学部現役合格率は全国トップである。(現役合格数60名/卒業生数167名=35.93%で全国トップ インターエデュ調べ)
こどもを医師にしたい場合は、どの学校よりも暁星がベストの選択と言えるだろう。

2019年8月11日
Global Leader Education
代表 安藤 徳彰


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