学校説明会は、間違いなく本当の学校の姿です。受けるかもしれないと思う学校は必ず足を運ばれ、新鮮で確かな情報を必ず必ず手に入れていただきたいと思います。子どもがこの先12年、16年という長く、人生の土台を構築する大切な時間の大半を過ごす場所です。親がしっかりとした態度で見極め、選択しなくてはなりません。それは間違いなく、親の大変大きな責任です。
学校説明会の大切さは常々繰り返し強調しているところですが、ただ行けばいいというものではありません。何を見ればよいのでしょう。大切なポイントをお伝えいたします。
1)「なんとなく」見る
「なんとなくこの学校が好き」、「なんとなく合わない」。実は、こういう感覚はとても大切です。子どもと学校の相性にとって、真実である場合が多いからです。学校の醸し出す雰囲気、子どもの様子、先生方の声掛け、調度品、飾られている作品、清潔さ、目に映るもの、耳から聞こえるもの、ちょっとしたにおい。もうなんでもいいのです。是非とも、五感を研ぎ澄ましてご参加ください。
なんとなく好きであれば、ちょっとした問題にも寛大な態度でいられるでしょうし、安心して子どもを預けられるでしょう。良好な信頼関係を構築し、学校を信じて任せられるのです。
授業見学や運動会、学芸会など、実際の子どもの活動する姿を見ることのできる機会があれば、それも必ず参加しましょう。子どもの姿と重ねて見て、「こんなふうに成長したらいいな」と思えれば、マッチングの第一歩は成功と言えます。
2)「比較して」見る
恋は盲目、あばたもえくぼも大切な感覚ですが、それだけでは長続きしません。目が覚めたとき「こんなはずではなかった」では、被害を受けるのは子どもです。しっかりしっかり見極めるのは親の最大の務めです。では、どう見るか。昨今の学校の選び方の変化を考えながらお伝えします。
一昔前は、「私立小学校ならどこでもいい」というご家庭が多かったのですが、昨今は「この学校」と的を絞る傾向が強くなっています。ひとつには、「年功序列型」から「実力主義」へ、こういった社会の変化が原因ではないかと考えています。暗記型秀才がよい大学を出てよい会社に入りさえすれば一生安泰、人生が保障されるような時代は終わり、求められるものは自分で考え、判断し、行動には責任を持つ態度。自分の考えを持ち、相手に伝え、他者を受け入れ、積極的に人生を切り開いていく姿勢。行動力、コミュニケーション力、問題解決力といった、これまでとは違う世の中になりました。形式的な学歴は何の役にも立たず、AIに置いていかれてしまいます。輝かしくグローバルに活躍する人材となるために、子どもに必要なものは何か。そういったことを親が真剣に考えて学校を選ばなくてはならないということです。
もう一つの特定の学校にターゲットを絞るご家庭の増加の原因として、学校のカラーが鮮明になっていることもあるでしょう。学校教育に求められるものが増加し、その対応が学校の方針、考え方によって多様となったことで、独自色が強まる傾向にあります。たとえば英語教育。学校創立当初から英語に力を入れてきた学校もあれば、世間の英語教育の波に気づきもしないような学校がまだあるのも事実です。取り入れ方の積極性や授業内容、授業時間、日本人が教えるのかネイティブか、さらにはネイティブの質のばらつきなど、学校により大きく異なっている現状です。
こういった現状を踏まえ、家庭が必要と考えるものを明確にし、子どもに必要な教育を見極めなくてはなりません。
では、その子にとって本当に必要な教育とは、どうやって見つけたらよいでしょう。まずは、子どもの12年後を思い描いてください。できるだけ具体的にイメージすることが大切です。大学生になった子ども、社会人になった子どもの姿を、ご両親はどのようにイメージなさるのでしょう。そこに見える姿から逆算して考えてみれば、今、小学校に入ろうとするわが子に必要な教育というものが、おのずと見えてくるはずです。
その上で、わが子には何が必要かにポイントを絞り、そのポイントについて学校を比較し尽くす。そうやってわが子に最もふさわしい学校を見極め、選択しなくてはなりません。その最たるチャンスが学校説明会です。個別に質問を受けてくださる学校も多いので、「こんなこと聞いたら落とされる?」などと心配なさることなく、しっかりと確認をしてください。失礼があってはなりませんが、真剣に学校を知ろうとする親の姿勢は、誠意と受け取られます。学校をよく知って入学を決めてくれる保護者は、学校の教育方針を理解、賛同してくれる家庭であるので、学校にとっても望ましいものだからです。
是非、ご家庭にとって実り多い学校説明会となりますように。