その1:なぜ志望校を早く絞るべきなのか
志望校を絞り込むこと、それもできるだけ早く決めることは、合格の決め手のひとつです。理由は以下です。
理由その1)子どものため
大手幼児教室は、我々が「幕の内弁当」と呼ぶろころの、全網羅型の授業です。5匹のねずみを数えるだけの計数も、とてつもなくひねった図形分割と回転図形の複合問題も、全部みんなで一緒にしましょう、という集団クラス。プロの目で見ると、これほど難易度に差がある問題が同じ学校で出題されることはないだろうと突っ込みたくもなりますが、いろいろな志望の子どもを一緒くたにして大勢詰込み、効率的にしなくては儲からないという教室側の事情があるのです。これでは超ペーパー難関校を目指す子どもにとっては退屈だし、基本問題だけしか出ない学校を受ける子どもが意味もなく叱られ、劣等感を植え付けられることにもなりかねません。学校ごとに難易度にも出題範囲にも傾向性があります。入試日までの限られた時間の中、子どもの負担を考えたとき、必要なことを見極めるのも親の重要な役割です。
理由その2)両親のため
願書、面接は合格のカギです。学校を徹底的に調べ上げ、あまねく広く情報収集し、在校生卒業生、その父母といった関係者の声を拾い集め、その上で願書を仕上げ、面接対策を完璧にしなくては、当日不安と緊張で真っ白になり、お父様はしどろもどろ、その横でお母さまが鬼の形相となってしまう。これでは、せっかくここまで頑張ったことが水泡と化します。
やはり、そこまでの準備をしたご家庭がご縁をいただいています。複数の学校分ができるほど甘いものではありません。欲張り過ぎると頭が混乱し、横浜雙葉で「自由こそ我が家の教育の基本です」だとか、立教で「厳しく鍛えていただきたい」と口走ってしまうような、世にも不思議な大失言を生む元凶となります。
幼児教室による均一化トレーニングが進み、ペーパーや行動観察では本当の家庭の姿が見えなくなっている、と校長先生方は口を揃えておっしゃいます。では、何をもって最終的に合否を決めているのでしょう。間違いなく、願書と面接の比重が昨今とても大きくなっています。これについては個別に指導をさせていただきますが、ともかく願書面接が大事なんだということを、毎日繰り返し唱えていただきたい。ちょっとやそっとで取り繕えるものではなく、また、面接には子どもも同席することが多いため、嘘偽りが通りません。いくらお父様が滔々と正義を語ってみたところで、子どもが「パパは違う」と口走れば一発アウト、「はい、さようなら」。すべてが真実でなくてはならないのです。さあ、今すぐ準備をはじめましょう!
理由その3)併願のため
一つ柱となる学校が決まれば、併願対策が容易になります。最優先校を中心に、周囲を埋めていくことで、無理のない日程を調整できます。併願校の日時を読み切るためにも、第一志望が早く決まっているに越したことはありません。
志望校を決めることは、道の先のゴールを設定することです。ゴールが定まらなくては、あちこち彷徨い続け、気づくと元の道にも戻れなくなります。目標を持って進んでまいりましょう。
シリーズ「学校選びの基本」
- <その1> 志望校はいつまでに決めるべきか
- <その2> なぜ志望校を早く絞るべきなのか
- <その3> 通学範囲、共学別学、付属校進学校をどう考えるか(公開予定)
- <その4> 校風を見極める(公開予定)
- <その5> 子どもの未来像を描く(公開予定)
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